歯を食いしばって耐える必要もなかった。
「……いつまでも好きに出来ると思わないでよ!」
心臓の鼓動が大きく体を揺さぶる。
五感の全てが広がってゆく。
自分が自分でなくなっていく――
たゆたう水の中に漂うように、大空に浮かぶ雲のように。
自分とそれを隔てる全てが取り払われ、無限に広がりゆく壮快感
そして、あたしは。
今の自分が『ありす』を圧倒する“力”を持った事を悟った。
これで、ナギの敵(かたき)を討つんだ!
あたしはその一念で自我を呼び覚まし、目の前の『ありす』を睨みつけた。
《いい加減にしなさい!!》
あたしが心の中で叱りつけると、『ありす』はビクンと体を揺らし、そのまま固まったように動かなくなった。
《よくもやってくれたよね。ナギと同じように……
ううん。それ以上の苦しみを味あわせてあげる!あんたが言ってた罰よ!!》
あたしがそう言って心の中に思い描くと―
たちまち『ありす』の周りに炎が吹き出し、やつを燃やしだした。



