あたしは、すぐにナギに駆け寄って抱き起こした。
……冷たい体。
「……ナギ」
名前を、呼んでみた。
……返事は
ない。
息が……
止まってた。
胸に手を当てれば
ピクリとも動かない
――心臓。
なのに
体中の血が
最後の一滴まで出るように
血だまりだけは広がってく。
手を取ってみても
ずしりと重くて。
手を滑らせれば
何の抵抗もなく
地球の重力に従って
そのまま落ちてった。
何も動かない。
何も見ない。
――これが、死?
そういうものなの?
ついさっきまで悪態をついてた声は、もう二度と聴けない。
あたしをバカにしたムカつく笑みは、もはや浮かばない。
あたしを護ってくれた手は、もう動かない。
心地よかった温もりも
頼もしかった力強さも
大好きだった懐かしい匂いも
もう、二度と――



