オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




途端に、『ありす』の笑い声が止んだ。


《……あなた、私に逆らうのね。生意気だわ》


ざわり、と空気が揺れた。


《It's your fault!!》


『ありす』が、英語で何か叫んだ。


岩がぐらつき始めて、むくむくと鋭い刃のように形を変えてゆく。


動こうとしても、岩の檻に閉じ込められて難しかった。

ひゅん、と一本の刃があたしをかすめて、スカートを床に縫い止めた。


次々と落ちてくる岩の槍からナギを護ろうと、あたしは反射的に彼に覆い被さった。


鋭く空を切る音が頭上でした。


今度こそ覚悟したあたしは、目を閉じて歯を食いしばる。


けれど。


痛みはなくて。


今まで聴こえなかった足音が、あたしの耳に入った。


気がつけば、あたしの下に居たはずのナギの姿がなくて。


あわてて顔を上げれば


信じられないことに


自力で立ち上がって光る剣を手にしたナギが


落ちてくる岩の槍を次々と薙ぎ払ってた。