確かにあたしより体重があるナギを抱きかかえるだけでも大変だけど。
火事場の何とやらで、自分でも信じられない位の力が出せてた。
ナギと来た道を戻り、一心不乱に走る。
……けれど。
点のように外の光が見えてきた時。
岩の柱が落ちてきて目の前に突き刺さり、それ以上進めなくなった。
《くすくす……鬼ごっこはそこまで~》
愉しげな『ありす』の声が響いてきた。
目の前に現れたのは、白人の少女の方の『ありす』だった。
《捕まえ~た! 鬼に捕まった子は罰を受けなきゃならないのよ。
あなたにはどんな罰が似合うかしら?
逆さ磔(はりつけ)?
それとも水攻めがいいかしら?
噂に聞いた、馬に四肢を裂かせる罰も楽しそうね。
それとも生きたまんま火炙りかしら?》
「冗談じゃないわよ!現代日本にそんな刑なんか許されないっての!
あんた、頭おかしいんじゃないの!?
今は西暦200X年の4月30日!
21世紀なんだからね!!」
あたしはぷっつんして、思わず怒鳴りつけてた。



