オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




でも……


なんで、日本語を喋ってるの?


ヴィジョンで視た時、流暢な英語で喋ってたよね。


忠司さんと。


日本まで追っかけて来たのかな?


それはともかく……。


今のあたしは凄く危険な状況なんだよね。


何よりも心配なのは、ナギの事。


あたしは失われてゆく体温を少しでも移したくて、ぎゅっとナギを抱きしめた。


《じいちゃん、一体どうすればいいの?》


あたしはどうすればいいのか解らずに、アプレクターじいちゃんに訊いた。


さっきから頑張ってるんだけど、どうしてかいつものように目の力が発動しなくて。


今のあたしは本当に役立たずな状態だったから。

ナギの治療もろくに出来ずに、相手をただ睨みつけるしか出来ない。


自分が情けなくなって涙が滲みそうになったけど、唇をぐっと噛んで我慢した。


《そのまんま睨んでいなされ。今のあやつは杏子殿の気力に押されて動けずにおる。その間にわしがなんとか追っ払う策を……》


アプレクターじいちゃんがそう言ってる最中だった。