じいちゃんも同じことを感じたんだ。
それにしても、あたしとナギがキスした時に一番悪意を感じた……って?
なんだかそれじゃあ、まるで。
あたしは『ありす』を睨みつけながらも、ナギの容態も心配だった。
体温は下がってく一方で、心音も弱くなってる。
出来るなら、この場で泣き叫びたい。
でも。
今は、相手に弱い部分を見せたくない。
その意地だけが、あたしの脆い心の殻を支えてた。
落ちた小石をアプレクターじいちゃんがつまみ食いしたとき。
あたしの目に、『ありす』の姿が完全に視えた。
青い瞳に、ウェーブがかった赤めの金髪。
その頭には大きなリボンで飾られていて、白い肌に映える赤いワンピースに白いエプロンドレス。
鼻は少しばかり低いけど、ぱっちりとした大きな目とそばかすが愛らしい、なかなか可愛い女の子だった。
年はやっぱり10歳から12歳位に見えた。
堅そうな木の靴に、白いエプロンドレス。
赤みがかったブロンド。
あたしが先日視たヴィジョンの女の子だよね。