《それよりも、凪殿の生命エネルギーがどんどん失われておる》


そう言ったアプレクターじいちゃんの声が、鋭いものに変わった。


《そこにおるは不純な存在!何者かッ!!》


いつものちゃらんぽらんさが信じられないくらいに、厳しく鋭い声を発したから。


……でも。


くすくすくす……


あの笑い声が聴こえたかと思うと、信じられない声が洞窟の中に木霊した。


《うふふっ……そのまんま潰れちゃえばよかったのに。
不思議の国に迷ったアリスみたいにちっちゃくしてあげようと思ったのよ》


聴こえてきたのは、まだ10歳前後の女の子の声。


アプレクターじいちゃんが支えてる岩の隙間から、相手の首から下しか見えなかったけど。


粘ついたような空気の中、姿を見せたのは……。

赤いワンピースに白いエプロンドレスを着た女の子。

足には木靴。


……そうか。


あたしはやっと解った。


「あなたが『ありす』だったのね!」


見えない相手を睨みつけながら、あたしは叫んだ。