オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




《危ないッ!頭を伏せるんじゃっ!!》


アプレクターじいちゃんの緊迫感に満ちた叫びに、あたしはナギを護るように覆い被さった。


さっき起きた崩落よりも更に大きな轟音が響き、洞窟全体が揺れる。


あたしは覚悟を決めて、ナギを抱きしめたままぎゅっと目を瞑った。


……だけど。


痛みも衝撃も感じない。

恐る恐る目を開ければ。

あたしとナギの周りだけ、岩が避けて落ちていた。


違う。


アプレクターじいちゃんが、あたしとナギを二度目の崩落から助けてくれてた。


いつもはスケベにしか使わない手を使い岩を支え、あたし達が潰れないギリギリの空間を確保してくれてた。


《大丈夫な様じゃな。どれ、今度はどんな美味がわしを待っとるのか楽しみじゃ》


実体化したアプレクターじいちゃんは、早速岩をせんべいみたいにかじり始めたけど。

あたしは不気味に思うどころか、逆に頼もしく思えた。


「ありがとう……あたし達を助けてくれて」


《礼はいらぬぞよ。宿主を護るは当然の役目じゃ》