見えたのがナギが着てたシャツと認めた瞬間、あたしの頭は真っ白になって。
気がつけば、岩を退かせようと無我夢中になってた。
泥まみれになっても、手のひらの皮が擦り剥けても、爪から血が滲み出ようとも。
あたしは何かに取り憑かれたみたいに、一心不乱に岩を取り除こうとしてた。
《杏子殿、杏子殿!そこから離れなされ!!》
アプレクターじいちゃんがそう言ったけど、あたしは汗まみれでも、絶対に諦めたくなかった。
「やだっ!この下にはナギがいるかもしれないのに!!」
幼い子どもみたいに駄々をこねて、泣きながら首を振った。
そうだよ!
今ならまだ息があるかもしれない……。
「あたしなんかよりナギを助けたいんだから!放っておいてよ!!」
あたしはアプレクターじいちゃんが出してきた手をキッと見据えて止め、また岩を退ける作業を続けた。
もう、オシャレなんかどうでもいい。
側に居られなくってもいい!
ナギを助けたい!!
生きていてほしいよ。



