「はいはい、わかりました所長殿」
あたしはわざとらしくそう呼ぶと、降りようとして気付いた。
ナギは知らん顔して、助けてくれようともしない。
「ちょっとおッ!女の子が降りようとしてるんだから、助けようと思わないの!?
それに、勝手に乗せて連れてきたのはナギでしょ!少しは気遣ったらどうなの!!」
あたしがぎゃあぎゃあ喚いてると。
「ヴォルン」
芦毛馬が一声嘶いて。
後ろ足で立ち上がり、あたしをコロンと振り落としてくれました。
落ちたのは柔らかい落ち葉と苔の上だったから、それ程の衝撃も怪我もなかったけど。
「五月蝿いぞ、盆栽アタマ。
お前のアタマに苔と松の木でも生やせば、少しは年老いた松の様にどっしりと落ち着くかもな」
「あたしは花咲じいさんか!!
それよりここは一体どこなのよ!?」
転げ落ちた女の子を当たり前みたいに助けず、さっさと歩くナギに苛立ちを感じつつ、あたしは痛んだ頭をさすりながら訊いてみた。
けど、ナギは何にも言わずに早足で歩いてゆくだけ。



