風を切って走る心地よさや爽快感よりも、あたしはそればかり願ってた。
仕事でも、何でもいい。
やっぱりあたしは、ナギの側に居たいよ。
恋人が居たとしても。
もし奥さんがいても。
きっと、想いは変わらない。
離れるなんて嫌だ……。
何でも頑張るから、どんな事があっても耐えるから。
あたしは自然と涙がこぼれ落ちて、その滴は風の中に砕け散った。
ナギが芦毛馬を止めた場所は、本当に何もない森の窪地だった。
さらさらと聴こえるのは水の湧き出す音かな?
あたしは慌てて涙を拭おうと下を向いてギョッとした。
馬の背ってこんなに高かったの!?
先に降り立ったナギのつむじが見える。
そこであたしは、つい吹き出しちゃった。
ナギのつむじが……本当に曲がってたから。
つむじ曲がりって言うけど、やっぱりナギは生まれつきだったんだ。
「早く降りろ。馬を巻き込みたいか」
少し不機嫌そうなナギの声が聴こえても、あたしは却って微笑ましく感じちゃった。



