あたしを挟むみたいに馬の鬣に両腕を回すナギの腕の温もりと逞しさを感じた瞬間、あたしは胸が高鳴って顔と頭に体中の血と熱が集まったみたいに感じて。
自分でも抑えられないものが、心から迸りそうになった。
それはなに?
怖い……
口にしてしまえば、認めてしまえば、あたしはきっとこの人の側には居られなくなる。
拒まれてしまう
終わってしまう
それが怖くて。
たった一言の気持ちが言えない
認められない。
芦毛馬の脚は速くて、揺れは大きかったけれど。
彼の腕の中にいるから、怖くない。
なにも怖くないよ。
あたしが怖いのは……
この場所を失うことだけ。
ナギはあたしを何とも思ってないかもしれない。
熱心に愛する恋人がいるかもしれない。
たとえこの後直ぐに別れなくちゃいけないとしても。
この瞬間は、二人きり。
この時だけは、ナギはあたしの……
どうか、どこまでもこの道と時間が続いていって欲しい。



