馬の前脚が空を掻いて、ナギの頭目掛けて振り下ろされた――
その直前に。
ナギの体は一瞬沈み込んだかと思うと、脚が下りてくるタイミングを見計らったように跳んで。
前脚を地面に叩きつけた反動で前かがみになった馬の背に、ひらりと飛び乗った。
その動きはまるで豹みたいに、優雅でいながらしなやかで勇敢で。
あたしの目は釘付けになっちゃった。
「おい!野生馬に手綱も鞍も無しで無謀だろ!降りろ!!」
マモル君ってばなに騒いでるんだろ?
ぽ~~っとしてたあたしの頭は、振動と甲高い嘶きで現実をやっと認識した。
ナギが跨った野生馬は、彼を乗せたまま尻っぱねしたり後肢で立ち上がったりして思いっきり暴れまわってた。
確かにあたしが知る限りでも、馬に乗るときは従わせる紐みたいなのと座るときに使う椅子みたいなのが要るよね。
あとは、足を掛けるトライアングルみたいな三角形のやつ。
あれがないと乗馬って出来ないんじゃないの!?
マモル君が言うとおりだよ!
ナギってばなんでそんな危険な事をするの!?



