「おい、ナギ!今の時期の馬は繁殖期で気が立ってるぞ!近づくな!!」
マモル君が声をかけても振り返る事もせず、ナギは真っ直ぐ芦毛馬に近づいていった。
何をするつもりなの!?
2メートルくらい手前で足を止めたナギは、ジッとしたまま動かなくなった。
横顔しか見えないけど、ただ黙って芦毛馬の目を見つめてる。
サラブレッドって意外と大きい。
ナギの身長はあたしより頭半分以上高いけど、その背より高い場所に頭がついていて、体なんかもっと大きいんだ。
確かにしなやかですらりとした体型はかっこいいけど、馬に蹴られたりしたら重傷じゃ済まないかもしれないんだよね!?
馬の脚力がどれだけスゴいのか判らないけど。
『馬に蹴られて死んじまえ』
なんて熟語があったし。
いくらナギでも、馬を相手にするのは無謀だよ。
そう思ったときだった。
馬が甲高く嘶いたと思うと、いきなり後ろ足で立ち上がって前足で空中を掻いたけど。
あれ?
あの姿をどこかで見たような気がするのは、あたしの気のせい?



