「現代競馬はもともと1700年代にイギリスで現れた三頭の牡馬から始まってるんだ。
現在走ってる競争馬の全ての祖先を辿って行けば、その三頭に必ず行き当たる。
…だから、競馬は血統のスポーツなんて言われるんだ。
だけど、なんでこんな場所にそのサラブレッドが居るんだろう?」
「戦争中は軍馬としてサラブレッドも徴集された。
イギリスでは1700年代には軍馬にサラブレッドを使っていて、軍にも専用の施設があったからな。
日本も戦争中は馬を使ったが、芦毛は目立つという理由で嫌われた。
だから、ここの別荘にいた芦毛馬は残されたんだろう。
別荘の裏手には馬を飼う厩舎があったからな。
その馬が世話する者が居なくて放たれ、ここで野生化して繁殖した。
そんなところだろう。
とは言っても両親が芦毛でも、隔世遺伝もあるからな。
戦争が終わってからよくある鹿毛が生まれたんだろう」
マモル君の後を継いでナギがそう解説してくれたんだけど、なんでこんな場所に来たんだろ?
……と。
何を考えたのか、ナギは一頭の芦毛馬に近づいていった。



