オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




絹枝さんは今日だけは自分の足で歩きたい、と杖を着きながら一生懸命に歩いてた。

森の中を抜けて少し傾斜がついた道を1時間掛けて歩けば……

丘陵地に広がる緑なす草原の中に、コバルトブルーの湖面が燦然と輝いてた。

遠く望める山の峰は遠く霞んで名残り雪を頂き、青白く見える稜線は芽吹いた緑や花で装う。

くっきりと白い雲を浮かばせる青空は燦々と太陽の光を降り注がせて、草木をいっそう生き生きと明るく見せてた。

暖かな春風は水と花と緑の香りを含んだ薫風となり、あたしたちを柔らかくなでてゆく。

風が吹く度に起こるキラキラと踊る草葉のざわめきは、切ない潮騒にも似て。

人工的な物が何もない新緑の中で佇んでいると、自分が何もかもから解放されたみたいで。


丘の向こうに見える大海原と波頭も眺めれば、何もかもちっぽけで取るに足らないものに思えてきた。


大空を羽ばたく鳥のような気持ちって、こんなのかな?

空の上から見れば、人間なんてちっぽけな存在。

それでも一生懸命に生きてる。