絹枝さんが手伝ってくれたお陰で、10分もあれば支度が済んだ。
荷物を持って絹枝さんを支えながら階段を降りてた途中、アプレクターじいちゃんが気になる事を言った。
《杏子殿、お気をつけなされ。
わしの同朋に限りなく近いものが近くに存在しておる。
昨晩は様子を見ておったが、一度杏子殿に近づく気配がしたからわしが追い払っておいた。
じゃが、わしも常に起きてはおらん。心しておくのじゃぞ》
やっぱり、あの笑い声は空耳なんかじゃなかった。
昨日アプレクターじいちゃんは大人しかったけど、一応は見ててくれたんだ。
たまには役に立つんだね。
《たまにとは何じゃ、たまにとは!
わしほど優秀で清らかな、善き存在はないぞよ》
そう言いながらアプレクターじいちゃんは後ろから手を延ばしてきたから、あたしは持ってたハンドバックを振って思いっきり叩いてやった。
別荘に来た人全員が玄関前に集まったところで出発した。
今日の目的地は、タクシーで来るときに山道から見えた湖。



