オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

事務所で見た身なりから察すれば、きっと今はひどい暮らしを強いられてるんだろうな。


……こんな小さな体で。


あたしは思わず涙が出そうになり、慌てて前かがみになろうとしたけど。


いつの間にか博君があたしの手を掴んで、顔をのぞき込んできた。


その顔は心から心配そうな表情で。


「お姉ちゃん、大丈夫?どっか痛いの?」


同じ男の子というのに、見ず知らずの子どもに飲み物をかけるバカボンボンとはなんという違いだろう。


あたしは思わずしゃがみこみ、人目をはばからず博君を抱きしめてた。


「大丈夫、あたしなら大丈夫だから」


あたしは決心した。


ナギがいくら反対しようが、博君の猫を絶対に見つけてみせる……って。

アイツが毒舌を繰り出す隙もないほど完璧に!


それで、無能呼ばわりを止めさせてやる!!


あたしは妙な対抗心から、闘争心がメラメラと燃えだした。