涼花さんが両手をせっせと動かしながら、楽しげに挨拶してくれましたが。
「涼花さん……それは?」
あたしがその手元を指差しながら恐る恐る訊いてみると、彼女は照れくさそうに笑って。
「恥ずかしい話ですけど、私、おにぎりなんて今まで一度も握った事ないんです。
ですから、楽しくて。
杏子さんもおひとつ試食してみてください」
確かに……
今まで一度も握った事がないのは確かなようですね。
あたしは心の中だけで呟いた。
……涼花さんの手元にあったのは。
形がボロボロで固まってないのはまだ可愛い方で、なぜ緑色だの黄色だの赤色だののおにぎりがあるんでしょう?
それもそのはずで。
おにぎりを握る器の隣には、市販の唐辛子の瓶や、練りわさびや練りからしのチューブやきな粉の袋がずらりと並んでましたから。
しかも、中は空っぽな様子ですよ。
オマケにご飯には塩じゃなく、砂糖を入れてるみたいで。
……すいません、それって一体何の食べ物ですか?



