ナギは普段あたしを毒舌でバカにするけど、肝心な時はきちんと公私の区別を着けるし、無意味な事は言わないから。
ナギは何か気付いてるの?
それと、昨夜書斎に入ろうとした時に聴こえた笑い声。
あれは、絶対に幻聴なんかじゃなかった。
それと関係あるのかな?
もしかしたら、ナギはまた独りで何かをどうかしようとしてるの?
今日は湖にピクニックに行くんだから、何か判るかもしれない。
絶対にナギに訊いてみなきゃ。
そんな事を思いながら窓のカーテンを開けると、眩いばかりの朝日が飛び込んできて、小さな窓から全てを明るく照らした。
まずは絹枝さんを起こして、朝の支度をさせるんだけど。
昨晩は遅くまで起きていて辛いだろうから、出発直前に起せばいいよね。
「おはようございます!」
少し身繕いをしてから一階に降りて、食堂を抜け台所に行くと。
もうご飯の炊ける甘くて美味しそうな匂いが、台所じゅうに湯気に乗って漂ってた。
「杏子さん、おはようございます。今日は楽しみですね」