オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

コンビニに入ってから、あたしは事務所から2回目の給料が入って少しは懐が暖かかったから、好きなの選んでいいよ、と言ったら。

博君は本当に嬉しそうに、白い歯を見せてにっこりと笑って「ありがとう」ってお礼を言ってくれた。


やっぱ可愛い〜!

思わず抱きしめたくなっちゃう!


博君は遠慮してるのか、小さなお菓子ばかり選ぶ。


「博君、遠慮しなくていいんだよ。あたしをお姉ちゃんと思って、どおんと買っちゃいなさい」


あたしがそう言うと、博君は数あるお菓子の中から迷わず1つだけ選んだ。


それは、チキン味のポテトチップ。


「クロがさ、これが好物だったんだ。
父ちゃんが死んでからめったに食べれなくなったけど、食欲がない時もこれなら食べてくれたから」


「そっか……」


まだ小さいのに、たった1人しかいない家族を失って、どんなに辛く寂しい事だろう。


あたしには離れていても、お母さんがいる。

ちゃんと会える。


だけど博君はその機会すらなくて、1ヶ月も1人で頑張って堪え忍んできたんだ。