あたしが揺れた瞬間に見えた手には、霜焼けやあかぎれがあって。
体型からすればたぶん10歳から12歳くらいの女の子に見えたけど。
ちらりと見えたそばかす顔の目は見えなかった。
口許には笑みが作られてたけど、それは時々ひきつるように崩れそうになって、その度に女の子は精一杯の努力で笑みを維持している。
そう感じてならなかった。
よほど悲しい事があったのかな?
声もだんだんと震えて、泣きそうな湿り気を帯び始めてた。
まるで、別れを惜しむ場面みたい。
そして、またあたしの視界が揺れて、今度はハッキリと相手の顔が見えた。
年の頃は10歳位で、汚れもしわもないパリッとした服を着てた。
少女とは対照的にその少年は、今見ても高そうな毛のコートを着て、麻と毛のズボンに皮靴。
でも……
あたしは驚いたなんてものじゃなかった。
「TADASHI……Good- by,farewell……」
そう少女に言われた少年は。
ナギに驚くほど似てたから。



