あたしの視界に入ってきたのは、ぼんやりと霞がかった景色。
霧ががったみたいに周りの景色は霞んでいて、少しでも遠い建物は形も判らない。
空は青色なんてものじゃなくて、灰色にしか見えない。
太陽が出ているのに薄暗い。
それは薄曇りだからじゃなくって、街中に漂う灰色の霧のせい。
そう。
その街は、灰色の霧に覆われてた。
上空だけでなく、街を包む空気すべてが。
赤茶色や白色や灰色の石造りの建築物は高くても5階建てで、アーチ状の屋根や張り出しの窓が目立つ。
アパートか何なのか、小さな窓が多くて整然と並んでるなあ。
でもバルコニーとかベランダもないし、日本の明治時代に建てられた洋館に雰囲気が似てるかな。
石造りなのは建物だけじゃなくて、道も石畳だった。
こんな光景、戦前日本にあったっけ?
ガア、ガア、と嗄れた鳴き声に注意すれば、カラスが芝生の生えた柵の近くにいた。
なんか、えらく大きなカラスだよね。
日本でよく見かけるのは主にハシブトガラスだけど、それより大きいんじゃない?



