別荘の一階東側には書斎と談話室を兼ねる部屋があって、その奥にご主人様用の個室がある。
今はどうしてかナギがその部屋に泊まってた。
……ってことは。
ナギと顔を合わせる可能性があるって事じゃない!
ぶっちゃけて言うと、今のあたしはナギの顔を見たい気分じゃない。
それに、今の絹枝さんがいつの辺りの記憶を甦らせてるのか分かんないけど、なんだかその部屋へ行かせてはいけない気がする。
ハッキリしたアプレクターの気配はないけど、それに近い蟠ったモノが渦巻いてる。
そんな感じがしてならなかったから。
「お嬢様、お疲れになりません?
そこの書斎で少しお休みになりませんか?」
あたしは多少強引なのは承知で、絹枝さんの抗議を無視して書斎に向かい、そのドアを開いた。
絹枝さんに肩を貸したままだったし、ランタンを持ちながら利き手じゃない左手でドアノブを回すのはちょっと苦労したけど。
《くすくす……》
……えっ?
ドアノブを回した刹那だった。



