二階から一階へ降りる廊下は、流石にちょっと苦労したけど。
絹枝さん自身が無意識の内に手すりに掴まってくれたから、あたしの負担は思ったよりなかった。
「トキ、いつも悪いわね」
絹枝さんが心底申し訳なさそうに言うものだから、あたしも少し畏まってみせた。
「いいえ、お嬢様のためですから。
たとえ火の中水の中!いつだってお供いたします!!」
あたしもトキさんになりきったつもりで、絹枝さんに勢いよく言ったら。
絹枝さんは微笑んで、
「いつだってトキは元気よね。お鈴さんにそっくり。流石に親子だわ」
って言った。
お鈴さんて、以前にも言ってたメイドさんの事ね。
トキさんとお鈴さんは親子か……。
そうすると、親子で絹枝さんの実家で働いてた事になるよね。
そうすると、トキさんって絹枝さんの幼なじみみたいなものかな?
絹枝さんが話しかけてくるときは随分と親しげだし、お嬢様にありがちな傲慢な振る舞いなんか一切しない。
それに、トキさんのことをよく知ってた。



