オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

お母さんが入院して以来、自分以外の人を家に上げるのは久しぶりだった。


一応ナギがハウスキーパーを派遣してくれる、って言ったけど、自分1人しかいないのにそれは贅沢だと思って断ったから。


前のファーストフードのバイトを辞めて産土事務所で働き始めてから、予想通りチカたちとの付き合いが悪くなった事もなんだか心が痛む。


みんなには事務のバイトで時給1000円と割といいから、と説明してあるけど。


小学生の博君すらウワサレベルで産土探偵事務所の存在を知ってるなら、情報通のユリが知らないはずはないよね。


いつ言われるかな……それとも、知ってて黙ってくれてるのかな?


お風呂の用意をしながら、あたしはつらつらとそんな事を考えてた。


あたしの住んでいるアパートは築30年と年代物の部類に入るから、お風呂はもちろん電化式や自動給湯なんて便利なしろものじゃない。

都市ガス式の風呂窯だから、浴槽にお水を満たして沸かすまで、冬場だとたっぷり1時間はかかる。

その間に夕食を作るために冷蔵庫を開けてみた。