「杏子ちゃん、蓋は取らすにそのまんまにしときなさい!
まだ蒸らしに入ってないんだから。
涼花さんもそれじゃあほうれん草を細かく刻みすぎです。
お浸しにする時はもっとざっくりと粗めに、かつ均等に切り分けるんです」
静江おばあちゃんの叱責があたしと涼花さんに容赦なく飛んできて。
「ごめんなさい、お料理はやっぱり苦手で。ダメですかね?」
顔をひきつらせた涼花さんの手元にある、まな板の上にあったモノは……
見事なまでに緑色のみじん切りになった、もと・ほうれん草。
茹で上がったほうれん草はふにゃりと柔らかく切り難いのに、涼花さんはある意味スゴい腕かも。
「涼花さん!たくあんがなんでこんなに蛇腹切りになってるんですか!杏子ちゃん、香りが飛ぶからお味噌は最後に溶くんですよ」
「きゃあ!なんで味噌汁にキノコが入ってるの!?」
「あ、外に生えてましたから入れたんですけど」
「涼花さん!これは毒キノコですよ!」
なんてかなりドタバタしながらも、楽しく騒がしく準備が出来たし。



