「いくら高い給料を貰ってるからって、ナギのやり方は横暴すぎるだろ!
俺はそんなやり方には納得できないね。
ナギが何を言おうが、喧嘩したって構わないさ。
渚さん、俺にもどんどん手伝わせてくれないかな。
ここにいても取り立ててやることはないし。
それに、俺自身が渚さんの役に立ちたいから」
今のあたしには、マモル君の優しさが心地いい。
近くにこんな頼もしい人が居て助けてくれる。
それだけで嬉しかったし、涙が出そうな位に安心できた。
昨夜のような心細さと惨めさが全て消えた訳じゃないけれど。
少なくとも、あたしが今まで接した事のある男性の中で、マモル君ほど潔癖で優しくて頼もしい人は居なかった。
あたしはこの人のどこを見てたんだろう?
こんなにいい人なんて、本当にいないよね。
拳で目元を拭ったあたしは、駆け足でマモル君に追いついた。
この人の側にいれば、あたしは安心できる。
それは今のあたしには、代え難い物があって。
無意識の内に、ナギを遠ざけようとしてた。



