やっぱり労働力が必要なだけだったんだね。


孤独なナギを少しでも助けられたら、と思って。

あたしなりに色々と努力したつもりだったけど。

やっぱり駄目だった。


もう、いいよ。


あたしはもう……


ナギに何にも期待しないから。


ただ言われた通りに仕事をしていけばいいだけだよね。


元々の雇い主と助手に戻るだけ。


何にも変わらないんだから。


《杏子殿、凪殿はそんな殿方ではあるまい。貴殿が信じねば誰が凪殿を支えるのじゃ》


そんなアプレクターじいちゃんの戯言を、あたしは目力で一蹴した。


「あたしなんかがいなくたって、ナギにはあんな美人さんが居るじゃない!
それに、命さんだって……
みんなあたしよりナギに相応しい素晴らしい女の人だから、ナギはその人達と仲良くしてればいいんだ!」


あたしは荷物からメイク法の本を取り出すと、ビリビリに破いて棄てた。

ムダなんだから……。

あたしがどんなに努力したって。

ナギには届かないんだから。