昔の人でさえ、こんな煌びやかな服を着てたんだもん。
今なんか色んな生地に豪華な装飾に、お洒落なデザイン、海外ブランドのオートクチュール。
ありとあらゆる華美を尽くした世界。
ナギの婚約発表の会場での華やかさを思い出すと、やっぱりこの現代日本にも身分っていうのはあるのかな。
そんな風に思えて仕方ないよ。
……遠い。
同じ建物の中に泊まってるのに。
なんだかナギが
月よりも遠い人に思えて。
ナギ自身は近くにいても
心はとても遠いよ……
なんで?
なんであたしをここに連れてきたの?
ナギ……
あたしはあなたの何なの?
ただの家政婦代わり?
おまえを離すつもりはないって……
便利な家政婦代わりになって、ずっと働けって事?
そりゃあ、あたしの家は貧乏だから、ナギが雇ってくれなかったら危なかったけど。
お金でずっと縛りつけて、好きなように扱うだけなんて、昔の日本にあった身売りと変わらないじゃない。



