オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

あたしも今回ばかりは心底腹が立った。


あんな非情なヤツの為に、誰が晩ご飯なんか作ってやるもんか!!


勝手に飢え死にしてりゃいいんだわ!


博君はまだ何が起こったのか理解できていないらしく、ポカンとした表情のまんま固まってた。

これじゃあさすがに不味いよね。

ココアじゃ服や体がべたついちゃうだろうし……。


しばらく考えて、博君をあたしの家に連れていこうかと思いついた。


事務所から徒歩で10分だから、そう遠くないし。

あたしが誘ってみると、博君は遠慮がちだけど嬉しそうに頷いた。


そうと決まれば善は急げ。


あたしはヤツが散らかした跡を簡単に片付けた後、ロッカーから予備の上着のパーカーを博君に着せてから、裏口から2人で出てドアを閉める。


その時、ちょっとした悪戯を思いついて実行した。
ドアの鍵をかけただけだけど、ふだんはあたししか事務所の裏口の鍵を持ってない。


マスターキーは事務所の金庫の中。
その鍵はナギが持ってるけど、ドアキーがなきゃどうしようもないからね。

ざま〜みろ!