あたしは役立たずなんかじゃないって、ナギに見せつけるんだ!
あたしは絹枝さんのトキさん……になりきろうと決心して、一緒に服を選び始めた。
とはいえ、やっぱり60年も経っているから、色も褪せてあちこち虫食いの跡があったり、傷んでる生地も多い。
だけど、絹枝さんはそんな事は気にしなくて、大事なのは……。
「忠司さまはあまり派手なものはお好きでないから、やっぱりこの薄紅色がいいかしら。
それに、庭に咲いている薔薇を結った髪に挿しましょう。
あの方は薔薇がお好きでいらっしゃるのですもの」
忠司さんのお話が自然と絹枝さんの口から出た。
あたしは何となくそのまま話を聴くだけなのはもったいない気がして、少しだけ質問をしてみた。
「お嬢様は本当に忠司さまの事がお好きなのですね。
庭の薔薇も忠司さまがお植えになったんでしたっけ?」
「そうよ、トキったらもう忘れたの?
この別荘に来られて直ぐに株をお植えになられたのよ。
今ではあんなに見事に咲いて……」



