重い気持ちを抱えたまま、あたしは絹枝さんの部屋のドアをノックした。
しばらくして
「どうぞ」
と聴こえたから、静かにノブを回して木製のドアを開いた。
びっくりした。
絹枝さんのお部屋には、色とりどりのドレスや着物が所狭しと広げられてたから。
「あ、トキ。ちょうどよかったわ。
お夜会に着る服が決まらないの。一緒に選んでくださらない?
トキのお見立てはいつも間違いないのですもの」
華やいだ様子でそう言ったのは、白いドレスを着た絹枝さんだった。
あんな不自由な手足でどうやってこんな風にしたのか、どうやって着替えたかは分からないけど。
少なくとも、今の絹枝さんは……
少女時代に戻ってる。
たぶん、いちばん幸せだった時代に。
あたしをトキさんとかいう人と間違うのはあまり気に入らないけど、こんな時にそれに拘って叱りつけたりするのはタブー。
お母さんが幼子に戻ってからは、あたしもそれに合わせてうまくやれたから。
絹枝さんのお世話だって、きっと出来るはず!



