ナギは聴いてるのかいないのか、ずっとあさっての方角ばかり見ていた。
あたしは少し気になってその視線を辿ると、どうしてかナギは博君をすり抜けて彼の真後ろに目を遣っていた。
そこにあるのはクロス張りの壁だけで……
……あれ?
あたしが目を逸らす間際、黒い何かが視界の隅っこをかすめたような気がしたけど。
もう一度よく見てみたけど、特に異常はなくて、やっぱり気のせい……かな?
「お願いだよ!ここ以外もう頼めるところがないんだ……頼むよう、探偵さん!」
博君が一生懸命懇願しているのに、ナギは何の返事もしない。
いい加減にあたしが博君の加勢をしようと腰を浮かせた時だった。
ナギがマグカップを持って立ち上がり――
何てことするんだ、コイツ!!
やっぱり最低!!
「断る。ここは動物愛護センターではない」
博君に頭からマグカップのココアを浴びせかけ、そう言い放ったナギは、それ以上は口を聞くのもムダと言わんばかりに、さっさと事務所から出ていった。
な、何なのよアイツ……。
あたしは少し気になってその視線を辿ると、どうしてかナギは博君をすり抜けて彼の真後ろに目を遣っていた。
そこにあるのはクロス張りの壁だけで……
……あれ?
あたしが目を逸らす間際、黒い何かが視界の隅っこをかすめたような気がしたけど。
もう一度よく見てみたけど、特に異常はなくて、やっぱり気のせい……かな?
「お願いだよ!ここ以外もう頼めるところがないんだ……頼むよう、探偵さん!」
博君が一生懸命懇願しているのに、ナギは何の返事もしない。
いい加減にあたしが博君の加勢をしようと腰を浮かせた時だった。
ナギがマグカップを持って立ち上がり――
何てことするんだ、コイツ!!
やっぱり最低!!
「断る。ここは動物愛護センターではない」
博君に頭からマグカップのココアを浴びせかけ、そう言い放ったナギは、それ以上は口を聞くのもムダと言わんばかりに、さっさと事務所から出ていった。
な、何なのよアイツ……。



