確かにあたしの体はボロボロで疲れ果ててた。
《よっし!あと少しじゃな》
アプレクターじいちゃんの声にあたしは頷き、桶を受け取ろうと屈み込んだ刹那……
別荘の裏手にある薔薇が咲き誇る薔薇園。
ぼんやりとした残光でも、そのすらりとした体つきと端正な顔立ちは十分に輝いて見えた。
ナギがいた。
女の子にこんな労働をさせておきながら、自分はのんびりと庭を散策してたなんて許せない!
この上はこの姿を見せてひとこと抗議しなきゃ……!
怒りに火がついたあたしは、大股でアプレクターじいちゃんの手を飛び越え、ナギのいる薔薇園に突進した。
《杏子殿!おやめなされ!》
アプレクターじいちゃんがなぜ必死に止めるのかわからないけど……。
心底アタマにきてたあたしは、その制止を振り切った。
そして、薔薇園の薔薇の種類が見分けられるくらいに近づいた時
あたしの目に飛び込んできたのは――
ナギがあの栗色の髪の女性と固く抱き合っていた姿だった。



