西の空に幾つもの星が瞬いてきた。
近づこうともがいているのに、近づけない。
それはまるで……
あたしの心のようで。
闇の中で幾らもがこうと、ナギの心に近づけもしない。
あたし……
こんなところでなにをやっているんだろ。
《杏子殿、流石にそれ以上はきつかろうて。
どれ、わしに任せなされ》
重いものを持ちすぎて腕が痺れ、滲んだ汗で桶が滑り落ちそうだったとき。
アプレクターじいちゃんがそう言って、傾きかけた桶を巨大な手で受け止めてくれなかったら。
あたしはまた引き返して井戸で水を汲み直さなきゃいけなかった。
「ありがとう。それじゃあしばらくはお願いね」
《おっけ~じゃ。任せなされ!》
アプレクターじいちゃんはあたしの影から出した腕で桶を持ち、空いた手で下草を刈っていってくれた。
それはすごく有り難くって、あたしは大いに助かった。
最初からアプレクターじいちゃんの力を当てにするのはイヤだった。
ナギへの意地がそうさせたんだと思う。



