オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

博君が直ぐマグカップを両手で鷲掴みにしたから、あたしは飲み口に指を置いてその動きを止める。


「だぁめ!まだ熱いから、急いで飲んだらやけどしちゃうよ?
こうやって息を吹きかけて冷ましてからね」


あたしが自分のマグカップで手本を示してみれば、博君はこくりと頷いて素直に真似した。


う〜可愛いよぉ!


博君はあたしが言うことをちゃんと守ってくれる。


なんだか弟みたいでほっとけない感じ。


あたしには兄弟がいないから、弟がいたらこんな風に世話してたのかな……なんて。


いまさら考えたって仕方ないけどね。


ナギは相変わらずのだんまりで、ひとっ言も喋らない。


まあコイツに空気読め、っていうのは奈良の大仏が自力で東京見物に来るくらいあり得ない話だけど。


博君は、あたしのフォローのお陰でだいぶ落ち着いたみたいでホッとした。


なあんだ、ナギは要らなかったじゃん。


あたしがそう思って程なくしてから、やっとナギが口を開いた。