「あら、なぜこんな古い物をお出ししてしまったんでしょう……お恥ずかしい事です」
そう言いながら埃を払って丁寧に仕舞う絹枝さんは……
愛おしいものを見る目をしてた。
大切な物なんだ……
「失礼ですが、その本を少々拝見しても宜しいですか?」
ナギはあくまでも慇懃に絹枝さんに頼んだ。
だけど。
さっきは自分からあんなに見せたのに、今の絹枝さんはまるで敵から守らんばかりに巾着袋ごと抱きかかえて、ナギの頼みにも首を振るばかり。
「ごめんなさい。これだけは誰にもお見せしたくないのでございます。どうかご勘弁くださいまし」
ぎゅうっと強く強く抱きしめて。
きっとそれは、忠司さんとの大切な思い出の品なんだろうな。
でも……
さっきの変わり身はいったい何なんだろう?
まるで昔の絹枝さんを見るようで。
「ごめんなさい……ご迷惑をお掛けしてしまいました」
孫娘の涼花さんが代わりに謝ってきて、絹枝さんがまた窓をぼんやりと見上げた隙にあたしたちに事情を説明してくれた。



