それからまたしばらくは静かな時間が流れたけど。
お茶を飲んで湯呑みを置いたおばあちゃんは、しばらく俯いてから両手をぎゅっと握りしめて、意を決したように顔を上げてナギを真っ直ぐに見た。
「お願いいたします……私の……私の夫に逢わせて下さいまし!!」
そう言うと杖を着いたまんま立ち上がり、よろめきながらナギの側に歩み寄る。
横にいた女性は慌ててその介助をして、一緒にナギの側にきた。
すると……
おばあちゃんは杖を頼りに腰を曲げると、ナギに向かって深々と頭を下げた。
床に頭をこすりつけんばかりに。
「お願いでございます……夫に今一度逢いたいのです」
依頼人のお名前は川村絹枝(かわむら・きぬえ)さんと、その孫娘の涼花(すずか)さん。
絹枝さんは最初に夫を探してとナギに言ってから、なぜか一言も喋らなくなってしまって。
ぼんやりとした虚ろな目を、あたりにさ迷わせているだけだった。



