オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




あたしが落ち込みかけた時だった。


《杏子殿、表に人が来たようじゃ》


アプレクターじいちゃんが教えてくれなかったら、あたしにナギの毒舌が十言くらいは繰り出されてたと思う。


探偵事務所に通じる裏口は一見何の変哲もない金属の階段で、ドアもごく平凡なアルミ製のもの。
ドアや階段下にも探偵事務所の目印になる看板や表札なんか掲げてないから、ふつうの人が見てもただの裏口にしか見えない。


実は、アプレクターに関連した依頼を持ってくる人だけには判る案内板が、近くに配置してある。

どうやってか知らないけど、ナギが不思議な方法を使って見分けられるようにしているみたい。


だから、依頼人は間違えずにうちの事務所を訪ねてこられるのだけど。


とにかく、今は依頼人が来たみたい。


春になってからアプレクター関連の依頼はなかったから久しぶり。


「おい、おまえ……」


あたしはナギが言葉を出し切る前に、先手必勝で裏口のドアまで飛んでいくと、ドアノブに手をかけて勢いよく開いた……。