「春は恋の季節だわよね。
好きな人に見せたい……そんな杏子ちゃんの気持ちが切ないくらい伝わってくるわよ」
瑠璃子さんがとんでもないコトを言うから、あたしは思いっきり首を振って否定した。
「そんな……そんな人いません!あたしにはそんな人なんか」
「そう?」
瑠璃子さんは少し離れたディスプレイに行くと、展示されてた服を持ってきた。
瑠璃子さんが手にしていたのは、ホワイトをベースにしてベージュを入れた切り替えなしのワンピース。
デザインも見た目も上品で、ちょっとしたパーティーなら着ていけそうな感じ。
「これはよく目に付く場所にディスプレイしておいたんだけど、杏子ちゃんはあたしが手に取るまで気にしなかったわよね。それはなぜかしら?
そして、そのアンサンブルがどうして良かったの?」
「そのワンピースは特に興味を持てなかったからかな。
アンサンブルが良かったのは、見た目がよくて見栄えがするし。それに……」
こっちの方が。
そう言おうとして、あたしはハッと気がついた。



