えいやっ、と幾つかのボタンを一度に押して、ガシャン、と出てきたのは。
……よりによって栄養ドリンクでした。
恥ずかしくて顔も上げられない状態で戻ると、気のせいかおばあちゃんも微かに顔を綻ばせてたように見えた。
「ありがとうございます。なんだか楽しい一時を過ごさせて頂きました」
おばあちゃんはぺこりと頭を下げて、もう時間ですからとベンチから立ち上がった。
「あの……『ありす』は何か、ご存じでしょうか?」
おばあちゃんは去り際に訊いてきたけど。
「不思議の国のアリスじゃないんですか?」
あたしがそう答えると、おばあちゃんはなぜか少し悲しそうな顔になって。
あたしの介助を断り、駅の改札口に向かった。
見送ってたあたしは、ハッと我に返って慌てて時計を見ると。
時計は非情にも2時23分を指してた。
ぎゃああ~!20分は経ってるじゃない!!
チカの怒りモードが容易に頭に浮かんだあたしは、ムンクになりながら急いで階段を駆け下りた。



