あたしは思わずその場で硬直して、マリリンは運んでた折りたたみイスをがしゃんと落とした。


「えっ?なにさ~2人とも呆然としちゃってさ!」


モップで会場の体育館の床を拭いていたチカは、あたしとマリリンに不思議そうな目を向けた。


わき腹をモップの柄でつつかれて、ハッと自分を取り戻したあたしは慌てて口を開いた。


「さ、さすがチカだよね!世界情勢に興味を持つようになったなんて!
やっぱケンと同じ大学に行くからでしょ?」


「世界情勢じゃなくて、日本社会の問題でしょ!少子高齢化は~。
チカのコト、まだ遊びにしか興味がない空っぽなアタマって思ってたっしょ?」


チカが拗ねてモップを乱暴に床にこすりつけるのを見て、相当お怒りねってのがヒシヒシと伝わってきまして。


あたしがどうフォロー入れようか迷ってる間に、意外にもマリリンがチカにやわらかく言ってくれた。


「バカねえ。チカが10人くらいケンの子どもを産んじゃえばいいのよ。
そうすれば少子化なんて少しはましになるわ」