「おまえにとって、命はその程度のものなのか?
自分の命はそう簡単に捨てられる覚悟しかないのか?」
薄れかけた意識の中で、ナギの厳しい声があたしに問うてきた。
「おまえにとって命は所詮その程度の価値しかない訳か。
ずいぶんと安い命だな。
これなら盲導犬の方が遥かに役に立っている。
母親もさぞかし悲しむことだろうな。
こんな不出来な娘を産んだことで」
続けて聴こえたナギの罵倒が、こぼれゆくあたしの意識を僅かに縫い止めた。
……悔しい!
なんでそこまで言われなくちゃならないの!!
負けるもんか……
こんな非情で冷酷なやつの思い通りになんか、なるもんか!
絶対に言い返してやる!
あたしの中で熱くたぎるものが生まれて、その熱は沈みかけた意識を引き上げてゆく。
大丈夫……
落ち着いて、いつものように息を吸う……
あたしは大丈夫!いつもと同じだから。
息を吸って、吐いて、また吸って、また吐いて。
ゆっくりと焦らずにすれば大丈夫!



