《む……それは……言われれば確かに》
アプレクターじいちゃんも否定できる根拠を見つけられないのか、それきり押し黙った。
……ほらね。
500年生きたアプレクターじいちゃんだって認めるくらい、あたしへのナギの態度は冷たいんだから。
……もっと早く辞めるべきだった。
こんなに苦しくなる前に。
少しずつナギの想いを知ってしまった今は。
異性へじゃなく、生命への大切な想い。
他の誰よりも慈しみ愛しむ心。
……知らなければ良かったのに。
肌の温もりも、広い胸の中にいる安心感も。
「ナギのバカ……!バカバカバカ……特大バカ!!
あたしの半年を返してよ……半年前に戻してよ!
なにも知らなかった頃に戻して!!」
あたしは川に向かってそう叫ぶと、白つめ草の上で泣き伏した。
……でも。
朝露を含んだ草を踏みしめる音がして、体を強ばらせると。
いるはずのない人の声がした。



