《杏子どの、本当に辞めてしまわれるつもりかの?
そう短慮せずに、もう少し凪どのと話し合ってみてはどうじゃ?》


アプレクターじいちゃんはそう言ったけど、あたしは目力でその動きを封じ込めてから言った。



「どんな事したってムダに決まってるんだから、口出ししないでよ!
バカナギはいつもいつもあたしをバカにして冷たくて、徹底的に軽んじてくれるんだから。
あたしがなにを言ったってムダだし、聞く耳も持たないに決まってるじゃん!
ナギにとってあたしはどうでもいいんだから!

アプレクターじいちゃんも見たでしょう!?
仮にも友達の前でナギがどういう言動をしたか。
車から助けるにしても、ふつう投げ飛ばしてブロック塀に叩きつける!?
ひきそうになった運転手さんに、あたしがゴキブリ並みの生命力と言ってあっさり帰す!??
チカたちを駅に送る時だって、あたしが乗る前に車を発車させたから引きずりかけられたし。
ちょっとでも思いやる相手なら、こんな事しないでしょう!?
むしろあたしを傷つけようとする意図がありありじゃない!」