あたしのささやかな抵抗なんて、この人にはそよ風にすらならないんだろうな。


なんだか……


お金を盾に、身動きが取れなくさせられたような気がするのは気のせいでしょうか?


あたしがため息を着く間もなく、やつは立ち上がってこちらを見た。



「そういえば名前がまだだったな。
俺は産土凪(うぶすな・なぎ)。
ジュンとかマモルたち一高の仲間からはナギと呼ばれてるのは知ってるだろう、渚杏子」


……はい?……



硬直化したあたしに、やつ……ナギは当然のように言った。




「腹が減ったな、メシ」




……かくしてあたしは、災難なことに、とんでもないヤツととんでもない事件に関わるようになったのでした。



しくしく……。