「僕の作品が某コンテストで大賞を受賞しまして。
その賞金で僕からの御礼も含めまして包ませていただきました」
小久保さんはそう言って屈託なく笑う。
「ようやくプロの小説家としてスタートを切ることが出来ましたから、これを機に美絵と新しい生活を始めようと思いまして」
「美絵さんでなく呼び捨てですか」
あたしが不思議に思って訊くと、なぜか美絵さんは顔を赤らめて俯いた。
「昨日わかった事なんですが、彼女は妊娠6週目に入ってまして。
今日市役所に婚姻届を提出してきました。
僕もまだしばらくは貧乏小説家でしょうが、彼女は着いていてくれると言います」
「あたしは幸せですよ。母は今ではもと勤めていたゴルフ場のキャディに復帰して、生き生きとしていますわ。
弟はコンビニで働き始めました。
シフトを交代する後の子から志を同じくする友達も出来たみたいですし。
姉の栄美は退院後、柏原先生のお世話をするため一緒に暮らしはじめました」
何だかあたしまで嬉しくなって、幸せな気持ちになれた。
おめでとうございます、美絵さん。



