「車が傷つかずに済んでよかったな。
あれは時価500万の値がつく車種だ。
余計なコトを言わず人を運ぶという忠実な働きをする分、カメより鈍い動きのヨーグルトアタマよりよほど役に立ち価値があるからな」
ピキッ……
あたしは車にひかれてアタマが朦朧としたんじゃなくて……
仮にもか弱い女の子を、思いっきりブロック塀に叩きつけますか、この男は。
あたしは頭に出来たこぶを押さえながら、思いっきり険のある目線を目の前にいる澄まし顔の男にくれてやった。
「……あのねえ!
なんで車から助けるのにわざわざ背負い投げするのよ!
それに、車が傷つかずにって何よ!
ふつうは人間の方を心配するもんでしょう!
あたしは500万以下の価値しかないってわけ!?」
「おや、通り道に障害物があったから取り除いたまでなんだが。
やかましく吠えるところを見ると、犬だったか。
いや、犬だとて3日飼えば恩は忘れないと言うし、飼い主には忠実なものだが。
半年飼ってもろくに留守番も出来ないナマケモノ恩知らずより」



