「赤ちゃんか……いいなぁ」
大通りから細い道に入ったとき、横に並んで歩いてたチカがポツリと口に出したから、あたしは彼女の寂しさを垣間見た気がした。
「ケンからは毎日電話来るんでしょ?
こうなるのは覚悟してたんだから、馴れなきゃね。
あたしもマリリンも一緒に遊んだげるし」
チカは重かった足取りを、コンビニの前でピタリと止めた。
「喉が乾いた?ならお茶でも買おっか」
あたしはチカの腕を引っ張ろうとしたけど、スルリとかわされた。
あたしの体は勢いあまって前に進み、駐車場から右折して出てきた車が目の前に――
チカの悲鳴が聴こえた気がしたけど、あたしには目にした光景が現実感に乏しく映った。
ぼおっとしながら近付いてくる車のフロントガラス越しの人を見てて。
なんだかテレビのスローモーション映像でも見てるみたいに、何もかもがゆっくりと動いて見えた。
どん、と体に衝撃を感じた。
視界がぐらりと揺れて、あたしはそのまま地面に倒れ込んだ。



